生成AIは、対策を怠ると「再学習」に使用されたり、情報が外部へ流出したりするリスクがあります。ここでは物理的設定からガバナンス上の対策までを入力時と出力時に分けて解説いたします。
入力時の3つの対策
(1)学習オフの設定(オプトアウト)
生成AI(ChatGPT、Gemini、Claudeなど)の多くは、初期設定のまま使用すると入力した会話データがAIの精度向上のための「再学習」に利用される仕組みになっています。(プランによって異なる場合あり)
ですので物理的に、再学習にされないように「入力した内容がAIの学習に使われない設定になっているか」という確認を行います。オフの設定は簡単に行うことが可能です。
(2)個人情報・プライバシー情報の入力禁止ルール
氏名、住所、電話番号、メールアドレス、顔写真、相談内容など、個人を特定できる情報は原則として入力しないようにします。
学習利用をオフにしていても、外部のサーバーに情報を送信すること自体が個人情報保護の観点で望ましくないため生成AIを使って文章を整理する必要がある場合は、氏名を「Aさん」に置き換えるなど、個人が特定されない形に加工します。
※名前を削除しても、所属、役職、年齢、相談内容などの組み合わせから本人が分かる場合がありますので注意が必要です。
(3)社外秘・第三者情報の扱い
個人情報以外にも、未公開の事業計画、顧客情報、契約内容、売上資料、独自の調査結果など、会社にとって重要な情報があります。また、顧客や取引先から預かった文章、画像、資料なども、秘密保持契約(NDA)において、生成AI活用が禁止されている場合もありますので、生成AIで処理してよい情報なのか、事前に定めることが重要であると考えています。
※情報を入力する前段階で、社内での許諾プロセスや、取引先との契約に「生成AI活用を前提とした情報共有への同意」条項の組み込みが、実務的な対策になります。
2.出力時の2つの対策
(1)著作権や商標権の侵害への対策
生成AIが作った文章や画像であっても、必ず自由に利用できるとは限りません。
既存の記事、画像、キャラクター、ロゴなどに似た内容が生成される可能性があるためです。
プロンプト作成時に、特定のクリエイター名や作品名、キャラクター名を直接指定して生成させる行為(例:「〇〇アニメ風のイラスト」「〇〇氏の文章を真似て」など)や他者の著作物をそのまま参照素材として添付する行為を避ける必要があります。
また、たまたま類似した生成物も発生する可能性があるため、コピペチェックツールやGoogle画像検索などで、既存コンテンツと酷似していないかを検証する必要があると考えます。
(2)ハルシネーション(嘘の情報)への対策
生成AIは、事実と異なる内容を、もっともらしく回答することがあります。これを「ハルシネーション」と呼びます。
出典を示すように指示をして、URLや資料名を実際に開き、内容が回答と一致しているかのファクトチェックを行う必要があります。
ハルシネーションは生成AIの技術的な特性であり、完全になくすことはできないため、「使う側が検証する」という前提の体制やルールとして決めておくことが、最終的な防御策になると考えます。